避難期間によって異なる「動物との避難生活」の形 避難期間によって異なる「動物との避難生活」の形

中長期に避難する場合

災害が発生し中長期に避難するパターンを具体的にシミュレーションしてみましょう。
例えば「地震」が発生したときのことを想像してみてください。
揺れを感じたからと言って、ただちに避難所に直行はしないですよね?
まずは飼い主とペットの安全を確保しつつ、揺れが収まるかどうか、様子を見たり、
建物の外の安全な場所や、一時(いっとき)避難場所などに避難して、地震が収まるのを待ちます。
その後、揺れが収まってきたら、安全を確認しつつ自宅に戻る方もいらっしゃるでしょうし、
自宅が無事な場合でも、福祉避難所など、障がいを持った方が安心できる環境に避難したい、と希望された場合や透析を受けていらっしゃる方など健康上の心配がある方、妊娠中の女性などは、ペットは自宅に残しお世話に通いながら、避難所に避難することを選ばれる場合もあるでしょう。
揺れが収まらず、自宅に戻れない場合や家屋に被害が出ている場合、自宅に住むのが危険である場合はペットとともに避難所へ避難することになるでしょう。
発災した後のペットの避難も飼い主と共に「自宅(在宅)避難」、飼い主がお世話に通う「自宅飼育」、飼い主と共に避難所で暮らす「避難所飼育」といったいくつかのパターンに分かれます。

避難が長期間に及ぶ場合

災害発生後の避難生活にも変化が生じます。
避難生活が長引けば、避難所から会社に出勤したり、壊れた自宅を片付けに通うなど、復興に向けての活動が始まります。
そんな時、安心してペットを残すことができる場所が必要になってきます。
避難所内では、ずっとペットと一緒にいられることが理想だと考えがちですが、避難所から出かける際には、安心してペットが残せる「ペット飼育スペース」を設置し、共同飼育するニーズも出てきます。
飼い主同士が申し合わせ、避難所に残っている人が、ペット飼育スペースの様子を見るなど協力しあうことで、ペット飼育スペースはより安心でいる場所になります。
また、避難所の外にも目を向けてみましょう。
かかりつけの動物病院やペットホテルが無事であることが確認できれば、自身が費用を負担し、ペットをいったん預けることで、安心して復興作業に専念できます。特に、キャリーバッグや小さなケージ内で長期に飼育するのが難しい猫は、ストレスや脱走を心配しながら避難所内で暮らすより、安心して暮らせる次の避難先に、早めに移動させることを考えましょう。
また親戚や知人に預けたり、災害時に設置される被災動物の保護シェルターに預けることができる場合もあります。
避難所内で生活する際に、車やテントを使用し、ペットと一緒に過ごしたい、と希望される場合は、飼い主のエコノミークラス症候群や、ペットの熱中症に十分注意してください。
ワゴンタイプの車であれば、フルフラットにして体を伸ばして休んだり、窮屈な服を避ける、水分をとり、身体を動かす、など、対策してください。
また車内温度が上がっても自分で移動できないペットだけを車やテントに残さないように注意しましょう。
熊本地震が発生した4月末、天気が良い日に避難所内に設置されたテント内温度が40℃にも上昇し、テント内にいた犬が熱中症になってしまった事例も報告されています。

一時避難の場合

次に、台風などによる雨の災害で、
「被害が生じる前に避難する」パターンをシミュレーションしてみましょう。
台風など、天気予報などで予測可能な場合やあらかじめ自宅付近のハザードマップを確認し、被害が想定される場合、また避難指示が出た場合には、最寄りの自主避難所や安全な場所にある知人宅や実家、親せき宅などの避難先などに避難します。
注意すべきは雨がひどくなったり、浸水が始まったり、夜になって暗くなる前に行動する、という点です。
浸水し、停電で真っ暗な中をペットとともに避難するのは、非常に危険ですし、危険な場所から動けなくなる可能性もあります。
動きやすい間に避難所や避難場所に移動できさえすれば、自宅に被害が生じていない限り、
台風や前線が通過し、避難指示が解除されれば自宅に戻ることができます。
そうすると、避難の際に持ち出す物の量も、とりあえずは1泊2日分程度の食糧や水でよかったり、雨風をしのげる場所にペットと避難するため、建物内の居場所を養生するブルーシートや敷物を持参するなど、ある程度準備に時間がとれることも、この避難のパターンの特徴です。

避難指示に従い、被害が生じる可能性がある場所から一時的に避難する場合は、避難所に限らず、安全な場所を選ぶことが重要です。
豪雨災害であれば高台にある建物や、ビルの上層階、その他、水の被害を受けない場所を平時から何カ所か想定しておきます。
高台だとしても崖下のそばなどは、土砂災害への注意が必要です。
ご近所の安全な場所に住む犬仲間に愛犬だけ預け、飼い主は避難所に避難する方法もあります。
そのために、普段からお泊りの練習をして、慣れておくのも一案です。
複数の避難先や避難の仕方を用意しておき、「プランA」がダメなら「プランB」と臨機応変に避難できるように準備をしておきましょう。
2019年の台風19号による避難の際には、立体駐車場の上階に車でペットとともに避難し一晩を過ごされた方や勤務先の事務所にお願いして避難された方、あらかじめ安全な場所に建つペット宿泊可のホテルを予約し、ペットも同室で避難されたご家族などもいらっしゃいます。
いずれも飼い主さんの判断力や行動力が功を奏したケースです。

監修:特定非営利活動法人ANICE

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