避難生活の注意点 避難生活の注意点

避難所でペットとともに生活する際のポイントは
1)居場所を分ける「すみ分け」
2)動線を分ける「動線分離」
―ペットが苦手な人やアレルギーがある人への「配慮」―
3)ペットが大好きな人への「対策」
そして、4)その他避難所での生活に特化した飼育上の注意などが挙げられます。

1)居場所を分ける「すみ分け」

まず、避難所には動物が好きな人たちだけでなく、苦手な人やアレルギーがある方もいらっしゃいます。また、同じ避難所内には小さなお子さんや乳幼児を連れて避難している方、高齢で震災により疲労困憊された高齢者などもいらっしゃいます。
そのような人とペットが混在し、余震の度におびえて吠えてしまう犬がいたり、深夜、誰かが寝返りを打つたびに警戒する犬がいたりした場合を想像してみてください。
たとえば、人と動物は別の場所で過ごす、あるいは飼っていない人と飼い主とペットとが別の場所で過ごすことは避難所生活を送るうえで合理的な手段だと言えます。
そのために、ペットを飼育するスペースを飼い主同士が協力して管理し、ペットも飼い主も安心して過ごせるようにする対策も必要になります。

2)動線を分ける「動線分離」―ペットが苦手な人への「配慮」―

そして、居場所を分けるだけでなく、動物が苦手な人やアレルギーがある人と動線が交わらないようにすることで、更にトラブルを回避することができます。
避難所内には食事を配給する場所などがありますからペットを連れて近づかないようにする配慮も必要です。
例えば犬に排泄させる際は、人に不快感を与えないように、排泄場所を避難所内で申し合わせておくと良いでしょう。
特に学校避難所は、授業が行われ、子供たちが過ごす場所だということを忘れないようにしなければいけません。

3)ペットが大好きな人への「対策」

さて、ペットを避難所に同行した時に、動物が好きな人への対策は必要でしょうか?
そもそも動物が好きな人たちですから、ペットにも優しい目を向けてくれるはず。
ところが、動物が苦手な人は、ペットが避難所内にいることについて苦情を言うことはあっても、自分から動物に近づいて触ることはないでしょう。
では、誰が動物に近づくのでしょうか?
それはペットが大好きな人達なのです。
特に小さい子供さんたちは避難所の中でも元気いっぱい。犬や猫を見つけると近づいてきて、触ろうとしたり、中にはケージのドアを開けてしまうこともあるのです。
また、残った支援物資がもったいないと、犬や猫が食べてはいけない食べ物を与えてしまった例もありました。
ペットが苦手な人には「配慮」を。
そして、ペットが好きな人には事故が起こらないようにする「対策」が必要です。
例えば、ペットのそばに子供にも読めるようにひらがなで「さわらないで」と注意書きを書いたり、子供の目をひくようにイラストを添えるのも一案です。

4)その他避難所での生活に特化した飼育上の注意など

避難所の状況によっては、犬を飼い主から離れた場所につないでおかなければならない場合もあります。
室内飼育が増え、長時間つながれることに慣れていない犬に、抜けやすい首輪や胴輪、係留が難しい伸縮性のリード、噛み切ることができる細いリードは要注意です。
飼い主がそばにいない時に余震が発生し、パニックになってその場から逃げようとすることも考え、逸走対策をしておくことが大切です。
必要に応じ、チェーンリードやワイヤー入りのリードなどの他、抜けてしまわないような機能をもった首輪等も用意しておきましょう。
もしペットが飼い主と離れた場所にいるのであれば、飼い主の避難所内の居場所を示すことが必須です。
ペットに何かあった場合に、速やかに飼い主に連絡をとるためです。
また、周囲の人にペットのウィークポイントを伝えることで、むやみに近づいたり、ペットを触ろうとして怖がらせた結果、咬傷事故などが起こらないようにします。
この対策は事故を防ぐためだけでなく、ペット自身を守るためにも必要です。

そして大勢の人が暮らす避難所では、ペットを飼っていない人の気持ちになってみることが大切です。飼い主には気にならないフードの匂いも、飼っていない人にとっては異臭に感じることもあります。室内に置く猫のトイレの臭いや、人が動くたびに舞う抜け毛、水場の排水溝に溜まったフードや抜け毛、飼い主には聞きなれた鳴き声も、被災し不安な日々を過ごす人には普段以上に不快に感じるでしょう。
飼い主は慣れてしまっているけれど、飼っていない人には気にならないか、いつも以上に周囲に配慮していきましょう。

ペットの飼育に関わる避難所内のトラブルへの最善の対策は、トラブルが生じないようにすることです。
フードの袋の口をしっかり閉めたり器に残ったフードはすぐに処分するか、いったん下げます。排泄場所や排せつ物の処理場所も決めておきましょう。犬や猫をお世話した後に人の居住エリアに戻るときには、衣服に毛がついていないか確認しましょう。
粘着テープや、濡らした手で衣服をなでれば、毛取りブラシの代わりになります。
水場を飼い主同士が交代で定期的にチェックしたり、ペット飼育スペースや、動線を掃除するといいでしょう。
慣れない場所に興奮して吠えてしまう犬の場合は、状況に応じて犬の居場所を移動したり、犬への刺激を減らすために段ボールなので目隠しをし、吠える原因を取り除くのも一案です。

監修:特定非営利活動法人ANICE

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