コロナ禍の防災(自宅避難・分散避難) コロナ禍の防災(自宅避難・分散避難)

1.災害時のペットの避難について考えてみましょう

 活断層に囲まれた日本では、対策といえば主に地震対策について検討されてきました。
平成に入り震度6弱を超えた地震(余震含む)を数えると、平成5年に発生した釧路沖地震に始まり、令和3年の福島県沖地震までの発災回数は60回にも及んでいることからも、地震対策の必要性は明らかでしょう。
(気象庁 震度データベース検索による)
しかし、近年では台風や大雨による風水害も多発していて、「想定外の雨量」というコメントが度々聞かれる被害が生じています。
平成27年9月に発生した「関東・東北豪雨災害」では、台風18号による温帯低気圧と、同時期に日本に接近していた台風17号により想定外の雨量となり、3県にまたがる広域水害となってしまいました。
濁流に怯えながら屋根の上で救助を待つ人々の姿がテレビに映し出され、その中には犬の姿もありました。飼い主とともに犬をヘリコプターで救出するシーンは、メディアにより度々報道されたのを覚えていらっしゃる方も多いと思います。
平成30年、西日本に大きな被害が生じた「平成30年7月豪雨災害」により堤防が決壊した岡山県倉敷市真備町の避難の際には、飼い主とともに多くのペットも避難していますし、令和に入ってからも毎年のように豪雨や暴風による被害が生じています。

このように、地震対策だけでなく、豪雨災害への対策の必要性も問われるようになる中、令和元年の暮れに中国・武漢で発生し、その後パンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症の流行により、日常生活だけでなく、災害発生時の避難や救援活動にも影響が生じてしまいました。

2.「自宅避難」「分散避難」という考え方

 そもそもペットを同行した避難対策は、徐々に社会に浸透してきているとはいえ、地域によって、また避難所によって、対応に差があります。また災害の種類や被害の大きさによっても、避難所に集まる住民数や避難者の状態が異なるため、基礎自治体の地域防災計画に避難所でのペット同行避難が謳われていたとしても、必ず実施されるものではありません。
たとえば、避難所の規模に対して住民数が少ない地域では、たとえ住宅が被害に遭っていなくても、住民を避難所に誘導する場合がありますし、都市部では地域の住民に加え、その地域に通勤している人数により夜間人口に比較し、昼間人口が大きく増大しているため、避難所への避難ではなく、「自宅避難」や、勤務先の建物の耐震性によっては職場で一定時間待機したのちに移動するように推奨している場合もあります。
また、悪天候による自主避難に備え開設される「自主避難所」は、地域の公民館や自治会館などであることが多く、指定避難所に比べ規模が小さい場合もあり、避難所に住民が入りきらない、といった状況も生じてしまいました。さらには、新型コロナウイルス感染症流行対策により避難所内の三密対策が必要とされるようになったことから、自宅が危険で避難の必要がある場合に備え、避難所以外の避難先を平時に複数確保しておく「分散避難」が推奨されるようになっています。

この「自宅避難」や「分散避難」はペットを飼育している人にとっては合理的な考え方です。
特に、猫の場合は、避難所で犬のように係留して飼育できませんし、小さいキャリーの中で長期間暮らすことは困難な個体がまだまだ多いことでしょう。また、ペットを複数頭飼育している方にとっては、自宅が安全であるように対策することで、避難所でペットを受け入れてもらえなかった場合に有効です。
また、雨の災害に対する自主避難については、避難指示解除までの短時間の避難ですむ場合もありますので、知人宅や犬の飼い主仲間、実家や親類宅に一晩避難したり、ペットだけ動物病院などのペットを預かってくれる施設に預け、飼い主はホテルに宿泊避難するといった「分散避難」策を複数準備しておくことが、災害対策と同時に新型コロナウイルス感染症対策としても推奨されています。

それでは改めて、ペット同行避難について考えてみましょう。

監修:特定非営利活動法人ANICE

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