いざという時のために、「愛猫の防災」日頃から行うべきこと

いざという時のために、「愛猫の防災」日頃から行うべきこと

猫はひとりで外出させてしまうと交通事故や感染症、猫同士のけんかによるケガのリスクなどがあるため、室内飼育が推奨されますが、災害時の避難や、急な病気・ケガで動物病院にかかる際にキャリーケースなどに入れてスムーズに移動できるようにトレーニングしておくことが大切です。

子猫の社会化とキャリーケーストレーニング

室内での飼育が基本的な猫ですが、子猫の時期に外の世界に触れる機会がないと、社会化(社会化:猫にさまざまな経験を積ませて、社会に慣れさせること)不足や刺激不足になりやすく、それが原因となった問題行動を起こしてしまう可能性もあります。猫をひとりで外出させることはできませんが、キャリーケースなどに入れて飼い主さんと一緒に外出し、いろいろな経験を積ませてあげることができます。

まずは猫をキャリーケースに慣らすこと

猫は本来、それぞれの縄張りをもつ動物であるため、自分の縄張りから出ると、ストレスを感じます。そのため、少しでも猫のストレスを減らしてあげるために、猫をキャリーに入れて出かけるのがおすすめです。
しかし、キャリーに慣れていないと、いくら社会化のために外に連れて行っても、猫はストレスを感じてしまうため、まずは猫がキャリーに慣れるためのトレーニングが必要です。
子猫の時期にトレーニングを行えば、猫はキャリーで外出することや外出先の刺激に比較的短い時間で慣れることができます。

猫がキャリーケースに慣れるためのトレーニング

①しっかりしたキャリーを用意

まず、猫を入れて安全に持ち運ぶために、しっかりとしたキャリーを用意しましょう。布製のもので、チャックで閉めるタイプのものは、猫が爪で引っかけて開けてしまうことがあります。上から猫を入れるバスケットタイプもありますが、前のドアから猫を入れて、ドアが取り外せるタイプのハードキャリーがおすすめです。

②キャリーを設置

最初は、猫が警戒心を感じないように、慣れるまでは前のドアを取り外して、猫が普段いる場所に置きましょう。
猫の匂いがついたタオルなどをキャリーの中に入れておくのもよいでしょう。
1日1回、猫の好物をキャリーの中に入れると、猫は好物を求めて自分からキャリーの中に入っていきます。
この手順を繰り返していくうちに、猫は自然と自分からキャリーに入っていくようになります。

③キャリーのドアを閉める

猫が自分からキャリーに入るようになったら、次が大事なポイントです。
ドアを閉めて、キャリーの隙間から猫に好物をあげて、「キャリーの中にいるといいことがある」ということを、猫に教えましょう。
キャリーに慣れたら、今度は猫をキャリーの中に入れたまま、家の中を移動するなどして、キャリーに入ったまま動くことに猫を慣らしていきます。

さまざまな場所に慣れるためのトレーニング

キャリーの中で猫が落ち着いていられるようになったら、次は自宅以外の場所や人にも徐々に慣れさせていきましょう。

①室内であればキャリーから出してみる

友人宅など自宅以外の室内を訪れた場合、窓などから飛び出すリスクがないことを確認の上、猫をキャリーから出してみましょう。
猫があまりにキャリーの中で警戒している様子だったら、無理にキャリーから出さず、おもちゃなどをキャリーの周りに置き、猫が興味を示して自分から出てくるまで待ちましょう。

②好物を誰かに与えてもらう

また、自宅以外の場所で、飼い主さんだけでなく飼い主さん以外の人に好物を与えてもらうと、人への社会化の練習ができます。飼い主さん以外の人から食べ物をもらうことに慣れるように、なるべくいろいろな人に与えてもらうとよいでしょう。いつも食べる好物を他の人に与えてもらっても食べない場合は、緊張してしまっている状況なので、しばらく様子を見て、落ち着いたら再度与えてみましょう。
緊張がなかなかほぐれないようであれば、おもちゃを使って楽しく遊んでみるのもひとつの手です。

③外出時間が長いとき

外出する時間が長くなりそうな場合は、あらかじめ大きめの容器にトイレ用の猫砂を入れて持ち運び、猫の排泄に備える必要があります。
猫砂は新しいものではなく、いつも家で使用している猫の匂いがついた砂を入れると、初めて訪れた場所でも排泄できる確率が高まります。

猫は成猫になってから初めて自宅以外の場所を訪れた場合、緊張して食事や排泄を我慢してしまうことがあります。このような問題を起こさないためにも、子猫の時期に家以外の場所に慣れ、食べたり排泄したりするトレーニングを行っていくことが大切です。

トレーニングのコツ

キャリーの中にいる猫に好物をあげるとき、ドアを開けてしまうと、好物を入れるときに猫がキャリーから出てしまうおそれがあるため、ドアを閉めたままキャリーの隙間から好物を与えるようにしましょう。
猫が好物によく反応するように、外出時にはおなかをすかせておくとよいでしょう。
おなかがすいているはずなのに、キャリーの中で猫が好物を全く食べる様子がない場合は、まだまだ時間をかけてキャリーに慣れさせる必要があります。静かな場所に移動したり、キャリーの網目の上にタオルをかけて、周りが見えないようにしたりするなど、猫が安心するようにしてください。

日頃の健康管理も大切

猫は本来、1日のほとんどを寝て過ごす生き物です。寝ている時間が長いため、猫が病気になっていても飼い主さんがなかなか気づきにくいことがあります。
そのため、室内で飼育しているとしても、定期的に愛猫を動物病院に連れて行き健康診断を受けることが必要です。定期健診を受けていれば、早期の段階で病気を見つけ、治療を開始することができます。

また平熱などの数値を把握しておくことは、災害発生時の「異常」の発見につながります。避難所には多くのペットが集まってきますし、愛猫の健康を守るためにもワクチン接種やノミダニ予防が必要です。日頃の健康管理は飼い主さんにしかできない災害対策の一つだと考えてください。

子猫のうちからのトレーニングや健康管理が大切

地震や豪雨、津波などの自然災害は日本でたびたび発生しています。
いざという時でも愛猫が感じるストレスを少なくして過ごすために、子猫のうちからトレーニングや健康管理を行い、愛猫と共に楽しい素敵な日々を過ごしてくださいね。

監修:もみの木動物病院・獣医師 村田香織先生

ペットの防災TOPに戻る ニュートロ公式通販TOPに戻る