まるわかり!子猫の育て方

まるわかり!子猫の育て方

監修:もみの木動物病院・獣医師 村田香織先生

子ねこを飼う前は、これから始まる生活を考えただけでドキドキ、ワクワクしますよね。猫との生活を快適に過ごすためにも、猫の育て方を事前に知り、おうちに迎えるための心の準備をしていきましょう。特に押えておきたい6つのポイントをご紹介します。

1.子ねこのうちに
必要なものって?

1.子ねこのうちに必要なものって?

子ねこを迎え入れる前に、必要な5つのアイテムを用意しておきましょう。

  • ベッド
  • 専用のトイレや猫砂
  • 子ねこ用フードや食器
  • キャットタワー
  • ケージ

-必要なアイテムや、最適な選び方は?-
初めて猫を飼う人へ!ベッド・トイレなど子猫必須アイテム5選

2.子ねこの成長に
合わせた食事を準備

2.子ねこの成長に合わせた食事を準備

子ねこの食事は大きく、授乳期・離乳期・子ねこ用フード期の3期に分かれます。

授乳期(~生後4週齢)

母乳か子ねこ用ミルクのみを与えましょう。

離乳期(生後4~8週齢)

ミルクから少しずつ子ねこ用フードやお水にシフトしていきましょう。

子ねこ用フード期(生後8週齢以降)

主食には「総合栄養食」の子ねこ用キャットフードを与えましょう。

-時期ごとの正しい与え方や目安とは?-
子猫の食事の与え方は?ミルクはいつまで?1歳までの子猫のごはんまとめ

3.子ねこに与えては
いけない食べ物をチェック

3.子ねこに与えてはいけない食べ物をチェック

子ねこにとって有害となる食べ物があります。特に以下の5種類には注意しましょう。

  • ネギ類
  • チョコレート
  • スパイス類
  • 生のイカ、タコ、エビ
  • アワビやサザエの肝

-もしも食べてしまったらどうなる?間違って与えないための工夫もチェック-
子猫にとっては危険な食べ物!猫に食べさせてはいけないものまとめ

4.子ねこへのお水の
飲ませ方を知っておこう

4.子ねこへのお水の飲ませ方を知っておこう

脱水症を防ぐために、子ねこのときからお水を飲むように習慣づけましょう。そのために心がけたいことは、以下の3つです。

  • 新鮮なお水を用意する
  • 飲める場所を複数用意する
  • さまざまな形の容器を用意する

-猫が毎日好んでくれる環境づくりとは?お水を飲まない時の対処法もチェック!-
子猫の水分補給は大切!お水の管理と飲まないときの対処法

5.子ねこの病気のサインを
見逃さず、常にチェック

5.子ねこの病気のサインを見逃さず、常にチェックを

猫によく見られる症状には以下のようなものがあります。

吐いてしまった

子ねこは胃が小さいため吐いてしまうことがよくあります。食欲や元気がある場合は問題ない場合もありますが、念のため獣医師に相談しましょう。

下痢が続く

子ねこのうちは消化しきれずに軟便となる場合があります。1、2度ゆるいうんちが出た程度なら問題ない場合もありますが、念のため獣医師に相談しましょう。

-嘔吐や下痢が続く時は?その他、代表的な3つの病気について-
気になる猫の病気の症状や予防法まとめ!

6.子ねこの特徴的な
行動を知ろう

6.子ねこの特徴的な行動を知ろう

子ねこがよくする仕草の意味や習性をご紹介します。

  • 前足でふみふみは甘えたいとき!
  • 顔をすりすりするのはマーキングやおねだり行動
  • 高いところが好きなのは、本能的に安心している証拠!
  • 夜寝ないのは、早朝と夕方などの薄暗い時間帯に活動的になる(薄明薄暮性)動物だから
  • 甘噛みは、遊びの延長や刺激不足など

-甘えたいとどうしてふみふみするの?甘噛み防止策は?-
子猫がふみふみしたり噛む理由は?猫の習性と行動の意味まとめ

その他、子ねこを迎える前に
考えておきたいこと

その他、子ねこを迎える前に考えておきたいこと

留守にするときは?一人暮らしの時のお世話

一人暮らしのときに気になるのが、外出の問題です。子ねこのうちは、数時間に1度、少しずつフードをあげる必要があるため、長く家を空けるときのために、代わりに面倒を見てくれる家族や近所の方を探しておきましょう。猫のフードやトイレのお世話をしてくれるサービスもあるので、事前に探しておくとより安心です。

多頭飼いや他のペットと暮らすときは

先に飼っている猫がいる場合、その先住猫と子ねこの会わせ方には注意が必要です。猫は単独のなわばりを持つ動物であるため、大人になって出会った相手は縄張りへの侵入者と受け取り、喧嘩になってしまいます。先住猫にとっていきなり会わせた子ねことすぐに仲良くなることは簡単ではないため、入念な準備が必要です。
コツは、先住猫にとって「新しい子ねこ=いいもの」と印象づけること。まずはお互いのニオイに慣れることから、徐々に進めていきましょう。
また先に住んでいた猫や動物が、子ねこを受け入れられる性格かどうかも考慮し、後から来た子ねこばかりでなく、先住猫や先住動物にもたくさんかまってあげましょう。

【先住猫と子ねこの会わせ方】

  • 最初は先住猫と子ねこの部屋を分ける

    他の猫が入れない場所を一時的に子ねこの部屋に。

  • お互いのニオイがついたタオルの交換

    先住猫と子ねこ、それぞれの寝床にタオルを敷きましょう。このタオルを交換して、まずお互いのニオイに慣れさせます。

  • 相手のニオイと「いいもの」をつなげる

    猫の頬や尻尾のつけ根をタオルでこすり、フェロモンを含むニオイをつけます。その上にお気に入りのフードやおやつを載せて相手の猫に与え、お互いのニオイによい印象を与えます。

  • お互いの部屋だけ交換してみる

    ニオイに慣れたら、子ねこを別の部屋に移して、先住猫に子ねこがいた部屋の中を調べさせます。同じように子ねこにも先住猫がいた部屋を調べさせてみます。このとき、猫同士が突然出くわさないように注意しましょう。

  • 好物と一緒にケージ越しに先住猫に子ねこを見せる

    子ねこをキャリーやケージに入れて扉を閉めた状態でケージ越しに先住猫に見せます。タイミングは空腹時、両方の猫に好物を与えてよい印象を与えます。

  • 少しずつケージを開く

    ケージ越しで問題なく会わせることができたら、少しずつケージのドアを開け、少しずつ様子を見ながら会わせる時間を延ばしていきます。

ニオイに慣れたあとも、一度喧嘩すると仲直りが難しいことも。子ねこがもともといる先住猫にちょっかいをかけ過ぎるのはひとりで退屈だからなので、飼い主さんがしっかり遊んであげれば、猫同士の喧嘩を防ぐ効果もあります。

迷い猫を飼う場合の注意点

外で暮らしていた迷い猫は人に慣れていないため警戒心が強く、飼い主さんに慣れるまで時間がかかることもあります。まず注意したいのは脱走。外の世界の楽しさを知っているので、鳴いたり、暴れたり、あらゆる手を使って外に出ようとする猫もいます。最初はケージで育てて、リビングなど飼い主さんのよくいるところにケージを置いてあげるとよいでしょう。そのとき、ケージに布などで目隠しをすると、新しい場所で不安になっている猫も安心できます。安心してフードを食べるようになれば、猫のおなかが空いているときに、長いスプーンなどを使って直接あげてみましょう。飼い主さんと美味しい食べものが結びついて、猫との距離が縮まります。
また、外での暮らしで、健康状態が良くないこともあるので健康チェックのために動物病院を受診しましょう。
迷い猫との暮らしは大変なことも多いかもしれませんが、じっくり焦らずに仲良くなっていきましょう。

抱っこについて

  • 抱っこにならす

    かわいい子ねこを見ると、抱っこしたくなりますよね。ですが、野生の世界ではいつ大きな動物に襲われるかも分からない小さな猫にとって、自分より大きな動物に覆いかぶされるのは怖いことであるため、人間に「抱っこされること」は本来怖いと感じてしまうことなのです。無理に抱っこするのは禁物。少しずつ、安心させながら抱っこに慣らしていけるとよいでしょう。

  • まずは信頼している飼い主さんから

    飼い主さんが、子ねこの好きなおやつをあげたり、おもちゃで一緒に遊んだりしながら、安心させた状態で抱っこします。信頼関係のない初めて会ったお客さまなどにいきなり抱っこされるのは子ねこにとって怖い経験になってしまうので注意です。好物を与えたり、一緒に遊ぶことで、安心感を与えてから抱っこしてもらうようにしましょう。

  • 子ねこにとって安全な場所で

    飼い主さんが立った状態で抱っこすると子ねこにとっては自分の身長の何倍も高いところで抱っこされていることになります。椅子に座るなど安定した状態で抱っこして、抱っこした子ねこが暴れても高いところから落ちてケガをするというようなことがないようにしましょう。

猫を飼う際の心構えのまとめ

子ねこを飼うためには、猫を受け入れるための生活環境を整えておくことが大切です。必要な道具や食事環境などの準備をしてあげましょう。

猫は長ければ約20年生きるといいます。その中で1歳までの子ねこ時代はたくさんのことを学び、ぐんぐん成長していく変化の大きな時期。子ねこが、1日1日たくましくなっていく姿や愛くるしい仕草は、飼い主さんにたくさんの喜びを与えてくれることでしょう。

そして子ねこは、成猫となり、やがて高齢猫になります。やんちゃで気ままな猫も年月を経て、高齢になることで介護が必要となることもあります。ですが喜びを与えてくれる、かけがえのない家族であることには変わりありません。「これから生活を共にし、長年面倒を見る」という責任を持ち、たくさんの愛情を与え、これから育って行く子ねことのハッピーな生活を始めましょう。

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