お散歩に潜む危険・注意点
しぐさ
お手入れ
さんぽ
獣医さん
毎日の散歩は、ストレスなく自由に楽しくさせてあげたいもの。電柱や草むらなど、犬が喜ぶ場所ほど危険が潜んでいます。まず虎視眈々と体を狙ってくる怖い外敵を理解しておきましょう。散歩後は、スキンシップも兼ねてしっかりとケアを心掛けてください。
細菌や病原体から守るために、動物病院などで処方されるノミやマダニ駆除薬を、定期投与するのが一般的と言われています。
なぜ、そうした防御をしなければいけないのでしょうか?
気をつけるべき外敵
ノミ
ノミ
散歩の途中や草むらの中を歩いたり、ほかの犬と接触することによって体についてきます。気づかずに放っておくと、ノミに噛まれてかゆくなったり、ノミの唾液が原因でアレルギー性の皮膚炎になってしまったり、犬条虫(サナダムシ)などの寄生虫を伝染させるきっかけにもなります。
万が一ノミを発見したら、犬の体のなかで活動しているのは、全体の5%程度と思ってください。残り95%はまだ卵か幼虫の状態。卵や幼虫は犬の体から離れ、家の畳やカーペット、家具などに潜んで成長します。これらが活動を始めたら大変です。 約1ヵ月で10匹が25万匹まで増殖するといわれるほどノミの繁殖率は高いのです。
見つけたら早い処置が肝要ですが、犬の毛のあいだに巣食っているノミを発見しても、その場でプチッと潰してはいけません。潰したノミが犬条虫の卵などをもっていると、そこから飛散して再び犬の口に入ってしまう可能性があります。ノミ取りコームやノミ取りシャンプーなど利用して取り除くといいでしょう。市販の滴下剤も有効です。
身体についていたノミ処理で油断せず、徹底的に掃除機をかけて部屋をきれいにしましょう。それ以前に普段からの行き届いた掃除が愛犬の体を守ることをお忘れなく。
マダニ
マダニ
マダニもまた草むらなどに潜んでいる害虫の代表格。旅行やキャンプ場の中、草原などで寄生されるケースばかりでなく、近くの公園や自宅のお庭など草の茂っている場所にはマダニが潜む可能性があります。マダニはわずか4mm程度の小さなムシですが血を吸うと小豆大まで体が膨張します。血を吸われた犬は身体にかゆみが起こるだけでなく、バベシア症などの病気に感染することもあります。
マダニは貪欲な害虫で、ことあるごとにお腹いっぱい血を吸います。「卵」→「幼ダニ」→「若ダニ」→「成ダニ」の各ステップで満腹になるまで血を吸い続けます。犬の顔にイボができたと思ったらマダニ……とかオーナーさんが気付くのは、マダニが成長した後だったとかよくある話です。
こちらも見つけたらすぐに取りたくなりますが、力まかせにひっぱってはいけません。マダニは自分のアゴを犬の皮膚の中に差し込んで吸血します。無理に取ろうとすると、マダニの頭部が犬の皮膚にそのまま残り、化膿する原因となります。見つけた場合は、すぐに獣医師さんに相談してみましょう。
蚊
蚊
蚊が媒介となって体内に侵入した寄生虫の「フィラリア症」については、ほとんどのオーナーさんがご存じでしょう。フィラリアが心臓に寄生し、食欲不振や体重減少、咳、卒倒などの症状を起こし、症状が重ければ死に至ることもあります。蚊が発生する季節に、予防薬を定期投与すれば、しっかり予防できるようになっています。
農薬、除草剤、害虫駆除剤
農薬、除草剤、害虫駆除剤
田畑のあぜ道や河川敷の草むらといった緑のある風景は、犬の大好きな散歩コースです。しかし、収穫物や植物を守るために農薬や除草剤を利用する例は珍しくありません。何気なく飛び込んで走り回った場所で体に付着し、毛づくろいの際に一緒に舐めて体内に入ることがあります。薬剤の種類によっては、嘔吐や下痢、運動障害、ひいては呼吸困難から死に至ることも。万が一、こうした薬剤を摂取した可能性を感じた場合、すぐに獣医師さんに連絡し指示を仰ぐようにしましょう。
ほかの犬の排泄物
ほかの犬の排泄物
散歩は他の犬との社交の場です。犬は相手を確かめるために、お尻のニオイを嗅ぎます。その際に、相手のお尻に付着していた排泄物や、分泌物、寄生虫の卵などが顔につき、犬の口の中に入ってしまう可能性もあるのです。もちろん、相手のオーナーさんがきちんと世話している方なら問題ないのですが、なかには何かの病気に感染している犬がいるかもしれません。あまりしつこくほかの犬のお尻の臭いを嗅がないよう、オーナーさんが気をつけてあげましょう。
また、特にオスの犬に多く見られるのですが、散歩途中で他の犬の排泄物の臭いを嗅ぐことがあります。その排泄物には細菌や病原体が潜んでいるかもしれません。こちらも臭いを嗅いだり舐めたりしないように、オーナーさんがきちんとコントロールしてください。
各種伝染病
各種伝染病
犬の世界には狂犬病以外にも怖い伝染病が存在します。いろいろな種類の混合型のワクチンが用意されており、適切に接種すれば、そうした病気から愛犬をしっかりと守れます。接種の時期や種類については、獣医師さんに相談してみるといいでしょう。
散歩後の体のお手入れ
散歩から帰ったら、まずは犬の体のお手入れをしてあげましょう。神経質になる必要はありませんが、散歩後のお手入れはノミやマダニの早期発見だけでなく、体を触ること自体が犬とのコミュニケーションになります。愛情を込めたスキンシップの機会としても活用しましょう。
Check1 ブラッシング&拭き取り
砂やホコリで汚れた体をブラッシングして、口のまわりや手足を濡れたタオルや布でよく拭き取ってあげましょう。足先を水洗いすると、指の間に水分が残ってただれることがある気を付けてください。
Check2 ノミ&マダニチェック
犬の毛をかきわけて、黒い粒状のものがないかチェックしましょう。ティッシュに取り水で濡らして赤く広がるようならノミの糞です。マダニは、犬の血を吸って大きくなってから発見できることが多いものですが、血を吸う前に発見してあげたいですね。草むらで遊んだあとは、耳の裏、あご、内股などを念入りにチェックしておきましょう。見つけた場合は、早めに駆除の対処をしてください。
外敵から愛犬を守る対策
被毛のカット
散歩後のお手入れがしやすいように、普段から犬の毛の汚れやすい部分を短くカットしておくのも手です。お手入れが大変だと「まぁ、いいか」と後回しになりがち。すると毛玉などができやすくなり、ますますお手入れが大変になるという悪循環に。皮膚のトラブルやノミやダニの発見も遅れるでしょう。十分なお手入れが愛犬の健康な毎日の第一歩であることをお忘れなく。
洋服を着せる
お出かけ用ファッションを楽しむオーナーさんが増えています。シングルコート犬種の犬など、寒い時期は洋服を着せないと外に行きたがらない子もいるようです。「洋服を着れば散歩に行ける!」と犬が学んでいれば、ストレスにならず着用できますね。小型犬の場合、総じて体高が低いため、草や実が体に付着しやすくなります。被毛の汚れを防ぐという意味では、洋服の着用は有効と言われています。ただし、ずっと着せたままにしておくと、洋服の中で被毛がすれてツヤがなくなる、毛玉ができるといったトラブルも。洋服を着せた後こそ、きちんとしたお手入れを心掛けてください。
リーダーウォーク
リーダーウォーク
愛犬がほかの犬の排泄物の臭いを嗅いだり、道に落ちたものを舐めたり食べたりしないようにするには、なんといってもしつけが肝心です。オーナーさんが危険を察知して事前に避けて通るように気を配りましょう。散歩のリーダーシップは、つねにオーナーさんが取るべきです。犬にリードをひっぱられてしまうオーナーさんはリーダーウォークを練習してみましょう。
体の内側から強くしておく
体の内側から強くしておく
ワクチンや予防薬で外敵から身を守ると同時に、犬の健康をキープしておくのはとても大切です。健康な毎日のために、バランスよく栄養をとれる食事を心掛けましょう。また毛や皮膚の健康やアレルギーに配慮された食事を選ぶと、外敵への備えもより強固になるのではないでしょうか。