下部尿路の健康維持のヒケツ
食事
獣医さん
下部尿路疾患とは
犬の膀胱から尿道の出口(下部尿路)で起こるさまざまな病気は「下部尿路疾患」と呼ばれ、膀胱炎、尿道炎、尿路結石症などがあります。
その中で最もよくみられるのは「尿路結石症」。膀胱や尿道に、砂や石のようなものがたまる病気です。
<尿路結石症の主な症状>
- おしっこが出づらくなる。
- 頻繁におしっこに行く。
- おしっこを少しずつしか出せず、トイレに長くいる。
- おしっこに血が混じる。
- おしっこをするとき、痛そうに鳴く。
- トイレ以外の場所でもおしっこをしてしまう。
- おしっこが濁る。
尿路結石はいろいろな要因がありますが、おしっこが濃く量が少ない小型犬は、大型犬よりもかかりやすいといわれています。生まれつきではない要因もあるので、よくお水を飲ませることや太らせないこと、フード選びにも気を配ってあげましょう。
<尿路結石症の要因>
- 肥満
- 飲水量が足りない
- おしっこを我慢しがちな飼育環境
- カルシウムやマグネシウムなどミネラルが過剰な食事
- 消化が悪い食事
尿路結石を作らないための注意点
「ストルバイト結石」や「シュウ酸カルシウム結石」という代表的な尿路結石は、それぞれの結石の材料となるマグネシウムやカルシウムなどの取りすぎや、おしっこがアルカリ性に傾くことなどでできやすくなります。毎日のフードや水を充分に飲ませること、運動不足で肥満を招かないことやトイレを清潔に保つことなど育てる環境に注意しながら、尿路結石症を予防していきましょう。
<尿路結石の予防策>
- 尿路結石に配慮したフード選び
ミネラル成分が調整されているものを選びましょう。おやつの与え過ぎはフードで調整したミネラルバランスを崩してしまうことにつながります。おやつは1日の総カロリーの10%程度に留めましょう。
- 水を充分に飲ませる工夫をする
新鮮な水を常に用意する。1日に必要な水分の量(ml)はその子のカロリー(kcal)の数字と同じです。体重4kgの犬が1日に必要とするカロリーは約270kcalですので、この子が必要とする水分量は約270mlです。
- おしっこを我慢させない
膀胱に長い間おしっこがたまらないよう、こまめにトイレをさせましょう。
- 肥満の予防
おやつなどの与えすぎに注意して、すでに太っている場合はダイエットをしましょう。
- 環境を清潔に
犬は、尿路に雑菌が感染するとおしっこがアルカリ性に傾いて結石ができやすくなります。いつもいる場所など、きれいに保ちましょう。
ウエットフードの活用
犬の尿路結石症を防ぐために、水を飲ませることはとても大切。でも、なかなか思うように水を飲んでくれないこともありますよね。そんなときは、犬の食事に水分力が多く含まれているウエットフードを取り入れてみましょう。ウエットフードなら、全体の75%ほどが水なので、食べることで簡単に水分を補給することができます。
平均体重6.5kgのミニチュアシュナウザー15匹に24日間、ドライフード(水分7%)もしくはウエットフード(水分73%)を与えて行ったウォルサム ペットケア サイエンス研究所*の研究でも、ウエットフードはドライフードを与えた場合よりも「尿路結石を形成しにくくする」ということが明らかになっています。
ドライフードと同じように、ウエットフードにもたくさんの種類があるので、愛犬のお気に入りを見つけてあげられるとよいですね。いつでも新鮮な水が飲めるようにするなど、水を飲ませる工夫はきちんとしながら、ウエットフードも上手に活用して愛犬の尿路結石を防いであげましょう。
*ウォルサム ペットケア サイエンス研究所とは、マース ジャパン リミテッドの信頼ある数々のペットフードを誕生させてきた、ペットケアとペット栄養学の世界的権威の研究機関です。詳しくはこちら